ティベリウス
(Tiberius Claudius Nero)

(Tiberius Iulius Caesar Augustus)
 ・・・アウグストゥスの養子になって以降

   

 

 

   

 ローマ帝国2代目皇帝となる人。(皇帝になったのは55歳のときなので、この絵は若かりし頃設定です)自分の血を引く者への皇位継承をあきらめた、初代皇帝アウグストゥスに後継者に指名され、彼の死後皇帝となります。

 ヘクトルに続き、典型的おにいちゃんキャラです。弟のような要領のよさ、人懐っこさがない、多分地味で内向的な人だったんだろうなあ、と思います。そして痛々しいくらい誠実。私が感じるヘクトルとの類似点は、この誠実さかな・・・・・・。

 アウグストゥスの再婚相手リヴィアの連れ子なので、アウグストゥスと血のつながりはなく、名門クラウディウス一門の血を引く家系の長男です。若い頃から軍団を指揮、着実に戦果をあげて軍事の才能を発揮します。また、ギリシャ文化や天文学を好んで教養は高く、さらに強靭な肉体を持ち、ローマ人初のオリンピック優勝者(4頭だて戦車競技)でもあると、全てに優れた非の打ち所のない人物!・・・なのですが、彼には“偽善”だけはできなかったようです。彼のまっすぐ過ぎる性格は、いろんなところで損をしているような気がします。
 義父アウグストゥスのせいで、いろいろとひどい目にもあっています。自分の血統の継続に執着した義父によって、最愛の妻ヴィプサーニアと離婚させられ、無理やり彼の娘ユリアと結婚させられます。でも、どうしてもうまくいかなくって、やがて離婚同然に。ひどいといえば、遺言もひどかった。自分の血をひく適格者がいないので、仕方なしにティベリウスを後継者とする、とか書いてあったそうですから。
 また、若い頃は義父との軍事政策上の衝突が原因で、家出(自主的引退)してしまいます。皇帝になってからも、やがて元老院などに失望して、また家出(笑)。キレると結構怖いタイプかも。
 彼の治世の前半は、あまりに誠実すぎたようです。そのあまりの報われなさの反動か、後半は、元老院や民衆の評判を完全無視し、カプリ島に隠遁しての統治を行います。塩野七生氏によりますと、“皇帝とは市民の第一人者に過ぎない”というデリケートなフィクションを信じていたのが前半。そして後半は、信じてもいなかったし、信じるフリもしなかった、とのこと。もちろん、やるべきことはきちんとやっていたし、国を、民を守ることを放棄したわけではないのですが、どうも“評判”というのは、そういうことだけではよくならないようで・・・。それがまたかわいそうです・・・。

 最後には恐怖政治とかいわれちゃうし、変態疑惑とか噂になっちゃうし、死んじゃったときにも市民には喜ばれちゃうしと、踏んだりけったりな感じがするのですが、後世になって、彼の名誉が挽回されたことは本当によかったと思います・・・・・・・。


 しかし、ティベリウスといってはいますが、全然顔は似てません。似た顔なんて描けない(泣)しかも、この頃のローマ人って、そろいもそろって、髪は短く切りそろえられ、髭も綺麗に剃られ、と、特徴のない風貌なので、私の画力では、誰を描いてもおんなじになってしまいます・・・。
 この衣装は、一応凱旋式を想定したものです。でも、ティベリウスの鎧姿の資料は見つからなかったので、カエサルの彫刻を参考にしました。だから、実際のところ、どのパーツが何で出来ていて何色かは、よくわかりません。適当なところもかなりあり。塩野さんの記述によると、凱旋式のときは紫のマント、黄金づくりの胸甲、で、あとは本当は月桂冠がつくらしいですね。


でも、戦場での最高司令官の赤マントも捨てがたかったので、色を変えたバージョンも作ってみました。→こちら