永遠の恋

 一目惚れだった
弟に言ったら笑われるかもしれないが
それが私の初恋だった

父と趣いた都で暇を持て余してそぞろ歩き
街を一歩離れただけで広がる草原
黒く長い髪を持った一人の少女
風が、髪を撫でる

ふっとこちらを見やった瞳には意思の強さが映る
聡明さと謙虚さと静かな美しさ
惹きつけられずにはいられなかった

少女の名はアンドロマケ
それが私の初恋で、それが私の永遠の恋

 

あまりにも運命的な出会いだった
客人の邪魔にならぬようにと街を出、一人時間を持て余していた
草原と風とが私の心を癒す
身を焦がすような恋なんて、自分には無縁だと思っていた

彼はそこにいた
風に誘われるようにして移した視線の先にいた
まるで彫刻のように何もかもが整いすぎていて
夢の中にいるような錯覚に陥った
不躾なほどに見つめてしまった

彼の名はヘクトル
それが私の初恋で、それが私の永遠の恋

 


けれど、死が私たちを分かった
あまりにも早く、あまりにも唐突に訪れた別れ
私たちの間に大きく横たわる死

 

私一人残されてしまった
彼は死に、国は滅び、私は残った

私も死にましょうか いいえ、それはなりませぬ

彼の体が朽ち果てようとも、私の中に彼はいる
私の生きている永遠の中に彼はいる
私の初恋は永遠の恋 私たちの永遠の恋

私は生きましょう 彼とともに生きましょう 私の中の彼と永遠に

私の名はアンドロマケ 彼の名はヘクトル
それは私たちの初恋の名で、それは私たちの永遠の恋の名
誰にも邪魔できぬ永遠の恋 

----------------------------------------------------------------------

 

夫婦です。恋をテーマに夫婦。
お初ですよね、こういうの。
一応、映画設定ですが、息子の存在が無視されてます。
そこら辺は何となく神話設定のような感じも。
裏に置いてあるネオマケと重ねて読むと尚一層、
ネオのやるせなさが募ります。

write 170404 tama



このお話を読んで、私も思わず妄想してしまいました・・・。そのうちお披露目できるといいなあ。

ネオマケ話は、現在は田間さんの新しいサイトに掲載されています、是非是非読んでください。
リンクページのトロイ関連から飛べます。
(れこ)