Museum
TROY関連 (2)

 

☆ラオコーン
ヴァチカン博物館内 ピオ・クレメンティーノ美術館(ヴァチカン市国)


   


  ギリシャ軍の残していった木馬がギリシャ軍の姦計であることを見破った、トロイの神官ラオコーンは、木馬を焼くことを主張してアテネの怒りに触れてしまい、息子ともども蛇に絞め殺されてしまいます。

  これは、紀元前2世紀のギリシャ彫刻を元に、紀元1世紀、ロードス島の芸術家3人(アゲサンドロス、アテノドロス、ポリドロス)により製作された作品とのことです。1506年に、エスクリーノの丘にあるローマ皇帝ネロの黄金宮殿(ドムス・アウレア)地下から発見されたそうです。また、ここはトライアヌス浴場跡でもあるので、浴場に飾られていた像のひとつとも言われているようです。発見されるとすぐに、ミケランジェロの賞賛を浴び、ユリウス2世が購入してヴァチカンに運ばせたとのこと。

 ともかく、ものすごい迫力です。ラオコーンの筋肉がすごいですね。(神官が、何でこんなにいい体しているんでしょうかね、笑)この彫刻など多くの古代の作品が、ミケランジェロなどにも影響を与えているのですね・・・。

  

☆ベルヴェデーレのトルソ
ヴァチカン博物館内 ピオ・クレメンティーノ美術館(ヴァチカン市国)


    

 近年になってから、ということですが、これは、自害を思案するアイアスの像と認識されたのだそうです。(それまでは、諸説あったってことかな・・・???)ちょっとピンボケになってしまたのが残念!

  アキレウスの死後、ギリシャ陣営では、その弔いのための葬送競技会が行われました。そこで、アキレウスの遺品が各武将に引き継がれました。彼の武具一式は最上の勇者に引き継がれる、ということになり、オデュッセウスとアイアスが名乗りを上げます。審判によって、オデュッセウスが選ばれると、アイアスは無念のため取り乱し、味方の軍を襲おうとします。アテナが彼を狂わせたため、被害にあったのは牧者と家畜たちでしたが、正気に戻った彼は自らの行動を恥じ、自害してしまいます。
 映画“TROY"では、アイアスは早々に死んでしまいますが、あの死に方のほうが英雄らしくていいような気もします・・・・・・。

 これは、ピオ・クレメンティーノ美術館のミューズの間に展示されています。ローマ時代の彫刻は模刻が多いのですが、これは紀元前1世紀のオリジナルだそうで、アテネの彫刻家アポロニウスの署名がほられてあるとのこと。ミケランジェロをはじめとして、ルネサンス時代や、新古典時代に賞賛された彫刻だそうです。

 

☆ペナテス神に犠牲を捧げるアエネイアス
アラ・パチス(平和の祭壇)(ローマ/イタリア) 

 


 
 アウグストゥスの平和の祭壇の正面右側の浮き彫りです。イタリアに上陸したアエネイアスが、ペナテス神の前で犠牲を捧げているところ。ギリシャ風に髭を生やしているのがアエネイアスです。アエネイアスは、ユリウス一門のご先祖様、ってことになっていますから、ユリウス一門の、そしてアウグストゥスの出自の正当性をアピールするために、このシーンが用いられたようです。

この祭壇は、アウグストゥスが、長く続いた内戦の終結を記念して建てたもので、紀元前13年に着工、9年に完成しました。アウグストゥスの努力による平和の到来を祝い、その平和が長く続くようにと願うローマ人の思いの象徴であると同時に、皇帝に対する礼賛の目的もあったようです。