3日目(9日)

** この日の観光コース **

ヴィラ・リシス 〜 ヴィラ・ヨヴィス 〜 アナカプリの町  

調子の悪い父はホテルに残し、3人で午前中は観光。午後は、父も一緒にアナカプリの町を散策しました。


☆ ホテルから見たナポリ湾の風景 その2  ☆


     

 カプリ島最初の朝。ホテルの窓からの風景です。 風は強く、寒い日ではありましたが、空気は澄んでます。少し雲がありましたが、それでかえって美しい朝焼けもみることが出来ました。 左はイスキア島、右はヴェスヴィオ山です。

 朝食をいただいたのは、こんなところ。すごく明るくて開放的な、リストランテ(?)・・・ でも、ここがディナーで利用されているかどうかは不明。 2年前、ディナーは離れみたいなところでいただきました。だから、多分そのときは、ここは使ってなかったんじゃないかと。季節によって違うのかもしれませんが・・・。 ちなみに、隣には、立派なワインカーヴもあります♪
 何を食べても美味しいのですが、一番嬉しいのは、自家製オレンジとレモンのママレード。売ってたら買ってかえりたいくらいです♪

     

   こちらの写真は、窓の外の風景。綺麗なプールがあって、海の向うにはイスキア島が見えます。朝食を食べているときに、係の方がちゃんとプールの掃除をしていました。でも、寒そうだった〜! 
とても素敵なプールなので、いつかシーズンに行ってここで泳いでみたいです・・・!



☆ ヴィラ・リシス/ヴィラ・フェルゼン (Villa Lysis / Villa Fersen) ☆


  

 カプリ島にはたくさんのヴィラがあります。やはり、今も昔も、裕福な人々のリゾート地、だからなんでしょうか。 そして、そのうちのいくつか・・・ヴィラ・ヨヴィスのような遺跡もあれば、近代のものもありますが・・・は、島の観光名所になっています。 これも、そんなヴィラの一つ、だとは思うのですが・・・。  ところがこのヴィラ・・・カプリのガイド本やインフォメーションで購入した地図、現地で以前購入した本の、どれにも解説が出ていません。その理由は、もしかしたら、この建物にまつわるエピソードが、あまり健全ではないから、かもしれません。 まあ・・・ティベリウスのヴィラ・ヨヴィスだって、散々な言われ方をしているのだから・・・あまり、最初っから色眼鏡で見てはいけませんが。 
 このヴィラへは、カプリの街から東のほうに向かってひたすら歩いていくのですが、途中で、このヴィラ・リシスとヴィラ・ヨヴィスに道が別れます。位置関係は、2年前にアップした旅行記の地図の写真でイメージしていただけるとありがたいです・・・。こちら⇒ 

 建物の入り口ではおじさまが一人、くつろいでいました。入場料はとっていませんでしたが、チップを置いていく形式になってました。このおじさまが、最初に建物の説明を簡単にしてくれました。 ここは、Jacques Fersenというスウェーデン人(現地では、作家、と聞いたような気がしましたが、カプリブルーさまのBlogでは、スウェーデン系フランス人男爵ジャック・ドゥアデルズヴァール・フェルセン、となっています)が建てたもの。 彼は同性愛者だったそうで、室内に恋人との写真も展示されていました。(上の中央の右側のがそうです)。 また、麻薬の常習者でもあったのかな? 彼は今年(2011年)の私と同じ歳のとき、コカインの大量摂取による自殺でこの世を去ったそうです。 ・・・わ〜、ちょっと胸がいたい・・・。 う〜ん、でも。同い年以下で、こんなところにこんな素敵なヴィラを建てる財力があったってことだよなあ・・・それはそれでまたうらやましい(笑)

 上の写真は、入り口のあった階のメインルーム?です。黄色っぽく写っている模様は、金のテッセラ(モザイクのブロック)みたいなものが埋め込まれて形成されています。柱の白っぽいところには、銀のテッセラも埋め込まれていて・・・とても洒落た造りです! そして、奥のエセドラ(・・って言っていいんですよね?半円形の部分)の窓からはナポリ湾が望めます。
 ・・・で、ご覧になると分かると思うのですが、このヴィラ、部屋の中に家具類が一切残っていないのです。 もう一つ、観光名所となっている、ヴィラ・サンミケーレとは対照的です。 でも、このがらんとしたところが、いろいろイベントにも使いやすいのでしょうね! 結婚式なんかも行われたりするみたいですし、ちょうど私たちが訪れたときには、上階(日本人的には2階)で『マクシム・ゴーリキー写真展』が開催されていました。その内容などについては、こちらからたどってください。
 http://ameblo.jp/kanokoi/entry-10992237065.html

 左の写真は、2階のテラスです。床のタイルは、19世紀のカプリ製とか。とてもかわいらしいデザインです。 写真では海しか見えませんが、これはナポリ湾。右の写真は、テラスから木々の向うに見えた、マリーナグランデ。 さすが、ヴィラ・ヨヴィスの近くだけあり、景色は最高です!!

    

    窓の周りには、ちょっとしゃれた飾りが。 こんな風にこのヴィラ、結構、細かいところのデザインが凝っています。 こういうところも、ヴィラ・サンミケーレとはちょっと違いますね。 (私の、ヴィラ・サンミケーレの印象は、ごちゃごちゃいろいろなものが置いてあって、部屋のあちこちに発掘品が置いてあったり埋め込まれていたり、構造物として使用されていたり・・・なのですが、建物単体としてのデザインは、まあ普通なのかなあ・・・と。)

 階段上の廊下。このタイルも、19世紀、カプリ製。階段は大理石。  

 続いては、麻薬部屋(Opius room)と呼ばれる部屋。日本人の数え方だと地下1階、ですが、崖っぷちなので海側にちゃんと窓があります。・・・でもやはり、若干薄暗い感じはぬぐえませんね・・・。ネーミングのせいもあるかもしれませんが。 奥のエセドラトは、一番上の写真のちょうど真下の位置になります。上の梁?部分の黄色っぽい柄は、金のテッセラが並んで作り出された模様です。

    

 ヴィラ・ヨヴィスへの道から分かれてからも結構歩くので、これを全部戻るのはちょっと・・・と思っていたら、おじさまが裏からヴィラ・ヨヴィスに通じる道がある、と教えてくださいました。下の写真、小さいですが・・・Villaの建物の前でお見送りしてくれたおじさまです!




☆ ヴィラ・ヨヴィス(Villa Jovis) ☆


 ヴィラ・リシスからヴィラ・ヨヴィスまでの道って、ほんとに山道、というか、獣道、みたいな感じで・・・これを上っていくのは結構大変でした・・・。ここは絶対にスカートで通るべきではありません(苦笑)!! ・・・結構すごい道でしたが、母もよくがんばって、(参加者)全員でヴィラ・ヨヴィスの裏に到着しました!  今度こそゆっくり見たかったのですが・・・ホテルに置いてきた父のことが気になって・・・やはり落ち着かず、あわただしい見学に。


上の写真は、ヴィラ・ヨヴィス内の正式見学ルートの始めのほうに掲げられていた説明です。これを読むと、ティベリウスは、『ローマに戻る途中、ミセーノで没した』と書かれています。一昨年の、ガイドさんの説明の通りです! やはり、こういう説があるのですね。というか、こちらがメジャーなんでしょうか・・・。でもそれならなぜティベリウスは、突然ローマに戻ろうと思ったんでしょうかねえ・・・。
 ともかく。今回、二度目のヴィラ・ヨヴィスです。1回目のとき(2009年)の記録はこちら⇒、その際のガイドさんの説明はこちら⇒ですので、もしよろしかったら、ご覧ください!

   この立看板は、正式な(笑)入り口を入って右側にあります。 
 これは、ヴィラ・リシスから上がってきて、最初にみつけたヴィラ・ヨヴィスの印。Specularium、とあるのですが・・・これ、私の辞書だと意味が出ていません。観測部屋、思索部屋、あたりが近いのかな・・・。それこそ、星の観測場所なのかもしれません。(ローマ人の物語だと、観測場所は、上の長いテラス部分と書かれています)
 しかし・・・メインの建物の外れ部分とはいえ、ガラスが割れたままなのはちょっと寂しいです。 でもこの辺、特に遺跡のようなものはみられなくて、ただの山道の途中、という感じでした。 
  

 で、さらに進むと、見覚えのある光景が。 手前〜左側のほうは多分、皇帝の居住部だと思います。そしておそらく右奥は使用人たちのスペースあたりかと。 ここから、遺跡の中に入るところが分からず、結局、柵を乗り越えて中に入りました(笑)。 もちろん、ちゃんと入り口まで行って、入場料は払いました! ・・・入場料、2年前から値上がりして、4ユーロになってました!

    

 こちらは、ヴィラ・ヨヴィス全体図。一昨年のページにも載せてますが、一応。 一昨年は、地図の上側の道を上って反時計回りに巡りましたが、今回、見学ルートを確認したら、下図Aの玄関部分から時計回りに歩いていくようになっていました。



 この立看板は、入り口から遺跡に上っていく道の途中にあります。     

 というわけで、まず左の写真は玄関。入り口は、この左方向のようです。右の写真は、浴場への通路なのですが、浴場は一昨年と同様見学不可。残念・・・。

    

 そして、使用人のスペースに。左は部屋、右は廊下。廊下は結構狭いですね。

    

 左・・・どのへんから見たのか忘れてしまいましたが、ソレント半島です。右は、貯水槽前から島の南西方面を眺めています。下は多分、使用人のスペース。 ・・・ほんと、何度来ても、あやふやなところが出てきますねえ。

    

 これは貯水槽。左写真は、壁だけが見えますが、それぞれが貯水槽です。手前のほうは、文明の利器の隠し場所(一昨年のページをご覧ください)になってます。奥のほうが、ずっと下まで空洞で、貯水槽の大きさをより感じられるのですが、立ち入りは禁止。なので、柵から乗り出して撮ったのが右の写真。 ま、一昨年とほとんど変わっていませんけど。

    

 このあたりは、多分皇帝の居住部。めちゃくちゃ広い、という風にも見えませんが・・・。 でも多分、下のほうとか埋まってしまっているんでしょうね。

    

 そして。この遺跡の展望台みたいな位置から見た風景です。実際には、エセドラの北側で、現在教会が建っているところ。きっと、昔の遺跡は埋もれてしまって、その分このあたりの地面が、遺跡よりも高くなってしまっているのだろうと思います。なので・・・きっと、ティベリウスがエセドラあたりから眺めた風景とほぼ同じ、なんだと思います!
 まず、左はイスキア島。そこから右に視線をうつして、きっとローマ方面・・・なのですが、ローマより近いミセーノなどもこの方向かな。

    

 そして、左はヴェスヴィオ山。右はソレント半島。一昨年の、ユピテルが暴れてそうな風景とは大違い!爽やかな眺めです。前回は、『・・・天気がいまひとつであったためか、ヴィラ・ヨヴィスからの風景は、塩野さんが「官能的な地中海の中でも、人の心を魅了してやまない」と表現し、人間を拒絶したティベリウスと不調和、と述べられていたイメージとは、ちょっと違う印象でした。幻想的で美しい風景には違いないですが、かえって、彼の孤独や寂しさを垣間見たような気がしました・・・。』と書いているのですが・・・今回は確かに、「官能的な地中海」の表現が似合いますね。でも、やっぱりこんな美しい風景を一人ぼっちてみるのは寂しそう・・・(涙)

    

 次は、どちらも海を覗き込んだ写真。左は、展望台(?)から下を覗いたもの。右は、どうもよくわからないけど、多分ティベリウスの落下台と呼ばれている場所付近じゃないかなあ・・・。真っ青すぎる海に吸い込まれそうでちょっとコワいです・・・。でも・・・まあそりゃ。昔は、今ほど人命が大切にはされていないので、奴隷の何人かが突き落とされたりしたこともあったかもしれませんが・・・やはり私は、スヴェトニウスなどの遺したヘンなエピソードを信じる気にはなれません!!

    

 そして、左の写真は、サンタ・マリア・デル・ソッコルソ(S.Maria del Soccorso)教会。一昨年よりは、マシな写真かな(笑)。まあでも・・・この建物、コンクリートの、あまり手の込んでいない造り、という感じです。場所が場所だけに、ここに日常的にお祈りに来る人、なんてほとんどいないのではないかと。中にも入れませんし・・・。ただ、カプリブルーさまのBlogか何かで、ここでのお祭り?風景を見かけたような記憶が・・・。 一方、右は、貯水槽の天井部分。

>     

 そして、これは、エセドラ部分を上からみたところ。外側も壁のようになっていたので、最初これも遺跡かとおもったのですが、おそらく発掘したあと、崖のようになってしまったのが崩れるのを防ぐ目的で造られたものではないかと思います。よって、内側の凹凸のある円弧の壁が、オリジナルの建物だと思います。この様子から、やはり、このあたりは埋まってしまっていたんだろうなあ、と思います。(今の地形だと、エセドラからは全然風景を楽しめませんし・・・。) 円弧の中は、比較的新しいレンガで修復されたもののようです。ただ、こんなものが部屋の真ん中にあると、せっかくのエセドラが狭くってしょうがないと思うんですよね。なので土台、もしくは天井を支えていた構造物なのかなあ・・・と想像してますが・・・実際のところはどうなんでしょうかねえ。

 左は、エセドラ外側の部分。一見、修復されたように見える、新しいアーチ型の構造が見えます。こんなものがあるから、これも遺跡かと思ったのですが・・・どうも、平面図をみると、これは遺跡ではなさそうです。
 一方、右の写真は、修復されたっぽい、エセドラ内の構造物。

    

 左は、エセドラを下(南)側からみたところ。奥の上に見えるコンクリートの建物が、先ほどの教会。そして、そのあたりが一番地面が高くなっていて、現在は展望台のようになっています。 右は、多分・・・エセドラ部分と浴場部分の間のあたりじゃないかなあ・・・あまり自信はないですが。

    

 さらに下っていくと、おそらくお風呂の側面あたりをすり抜け、そして出入り口に向かうことになります。左はどの部分か記憶がないのですが(涙)、右写真は、道から振り返って撮った写真なので、お風呂あたりだと思われます。先に写真を載せた、落下台?は、この下る途中あたりかな・・・。 そして、出入り口&係員の詰め所の横辺りに灯台があります。

      

 ・・・とまあ。こんな感じで見学してきました!さすがに2回もいくと、だいぶ親しみが湧いてきます。・・・次は、ちゃんと平面図を片手に、一つ一つの跡地を確認していきたいですねえ。でも、できれば・・・もう少し修復が進んでからにしたいかなあ(笑)。やってるのかどうなのかいまいちわかりませんが・・・毎回、立ち入り禁止区域がちょっとずつ変わっているようではあるので、期待したいところではあります!

     これは、ヴィラ・ヨヴィスへの道のスタート地点となる小広場(La Piazzetta)にある、『Bar Tiberio』。 一度入ってみたいんだけどなあ・・・今回も残念ながら素通り。 
 残念ながら、まだ一度も、カプリ側のお店で飲食したことがないんですよねえ・・・・・・。

 ここでバスに乗り、一旦ホテルに戻りました。 父を連れ出しての昼食後は、アナカプリ散策です・・・



☆ アナカプリの町 ☆


 午後は、昼食後に、お土産屋下見を兼ねて町の散策です。(日曜なので、閉まっているお店が多く、購入は不可) 人もまばらな町をのんびり歩くのは、何だかとても癒されます・・・。下、左の写真は、サンタソフィア教会(Chiesa di Santa Sofia)です。 教会前の広場では、子どもたちが夜になってもボールを蹴ってました。 右の写真は、このオルランディ通りにいくつかしつらえてある、マヨルカ焼きのベンチのひとつ。とってもかわいらしいつくりです♪

    


 これは、アパート?前のポーチ横の花壇のようなところに咲いていた花。すごく小さい(花びらの長さが2cmくらいだったかなあ・・・そろそろ記憶があやふやです)のですが、形はシクラメンのよう。でも、葉っぱはみあたりません。ふしぎな花です・・・。 ちなみに、この花、ヴィラ・リシスからヴィラ・ヨヴィスまでの獣道(笑)にも、自然に咲いていたんです!   

 散歩のあとはまたホテルに戻り、食事時に再びアナカプリの町にくり出しました。ちょっと面倒な気もしないこともないのですが(笑)、食事後の腹ごなしにのんびり歩いてホテルまで帰るのもまた、いいものです♪ ・・・これで、この日はおしまい!


2012.1.18

2011年カプリ・ナポリの旅 Topへ⇒